奈良県が行っている支援事業について、看護職員の確保としてのその内容などを紹介します。
看護師確保としての看護師支援対策
今や看護師不足は社会的な問題です。
看護師を目指す人が減っていることも原因なのですが、深刻なのはその離職率。
なぜ、看護師を辞める人が増えてきているのでしょうか。
それには次のような理由が主な原因となっているようです。
理想とのギャップ
「白衣の天使」と呼ばれ、普段は笑顔を絶やさない印象のある看護師ですが、その仕事内容はいわゆる「きつい・汚い・危険」の3Kだとも言われています。
看護師に憧れて職に就いてみたはいいものの、理想やイメージとの違いを思い知って辞めていく人も少なくないとか。
多忙で休みが取れない
看護師の仕事は、職場によっては残業や夜勤続きで安定した休みを取れないことがあります。
家族とすれ違いの生活になることもしばしば。
看護師不足は現場で働いている看護師の負担を増やすことにもつながり、仕事量も多くなりがちです。
仕事量と給与のバランスの差
看護師の給与は一般企業の給与と比較すると高めなものの、病院によっては仕事量と釣り合わないケースも多く見られます。
奈良県の看護師支援
特に地方での看護師不足は深刻で、各県の行政ではさまざまな対策を講じています。
奈良県では地域医療連携課の医師・看護師確保対策室が次のような看護師職員確保対策を打ち出しています。
【新規就業者数を増加させる取組み】
ナースセンター事業
看護職を目指している学生の増加と看護職員の県内就業を促進する為に合同進学ガイダンスを実施する。
実習指導者講習会事業
学生の臨地実習指導者に必要な知識や技術を習得してもらうため、臨地実習指導体制の充実を目的に講習会を実施する。
看護師等修学資金貸付事業
看護職を志望する人たちが修学しやすいように図り、看護職員が県内施設に数多く定着するよう県内就業希望者に修学資金を貸与する。
看護師等養成所運営費補助
看護師養成所の教育内容を向上させ、質の高い看護職員を確保するために必要な経費を補助する。
【離職率を低下させる取組み】
新人看護職員研修事業
新人看護職員の卒業後に臨床研修を実施して安全で質の高い看護を提供するなど、看護知識や技術の不足から生じる不安によって離職することを防止する。
看護師キャリアアップ等支援補助事業
認定看護師等の資格の取得を支援し、県内医療機関で働くことの魅力をアピールするなど看護職員の県内就業と定着を促進させる。
看護職員の多様な働き方実現支援事業
県内医療機関で看護職員の短時間正規雇用などさまざまな勤務形態の導入を支援し、看護職員の県内就業を定着させる。
病院内保育所運営費補助
子供を持っている看護職員の就労促進と離職防止を目指して院内保育施設運営費に補助を出す。
看護職員メンタル相談事業
看護職員や看護学生が地元に定着するように奈良県看護協会内にメンタル相談窓口を設置する。
看護職員定着促進研修事業
臨床現場でのさまざまな悩みやストレスなど、精神的な問題について相談を受ける人材を養成する。
訪問看護管理者研修
訪問看護事業所の管理者を対象として経営基盤強化のための研修を実施、看護の質の向上を目指すのと同時に看護職員の定着を促進する。
訪問看護推進事業
在宅医療を行う際に重要な訪問看護の充実を図るため研修などを実施する。
勤務環境改善施設整備事業
高度な医療にも対応できるナースステーションと看護職員が働きやすい効率的な病棟づくりなど、勤務環境の改善と整備を行う。
【復職者を増加させる取組み】
ナースセンター事業
ナースバンク事業として無料での職業紹介、広報誌発行などを行い、合同就職相談会実施事業を推進する。
看護職員復職応援事業
再就業を希望する看護職員を対象としてニーズの高い医療現場での技術研修を実施、再就職を支援する。
外国人看護師受入支援事業
外国人看護師候補者受入病院の研修体制を充実させるため経費を補助する。
⇒奈良県の看護職員支援事業についてもっとみたい方はこちらをチェック!(外部サイトにとびます)
――こうしたさまざまな支援策によって実際に奈良で働いている看護師も助成金を利用でき、認定取得のための学費や時間確保がサポートされて専門的知識や技術を生かした業務ができているそうです。
また、支援されていること自体がキャリアアップや仕事の応援につながるため、大きな励みにもなっているのだと看護師から喜びの声が上がっています。